書籍「2010の日本−雇用社会から起業社会へ−」野村総研(1/5)(2/5)

図書館で偶然目にした本だが、私のいいたいことをよくぞここまでいってくれたという感じである。
また、野村総研の著作だけに、裏づけもしっかりしている。

以下、テーマ別に私の所感を述べる。
1.成果主義の限界
1.1 報酬の考え方
 私は常々大企業が最近取り入れている社員に対する成果主義は、益よりも害の方が大きいと実感してきた。
この本では、金と地位だけを報酬とする体系が良くないと喝破する。
即ち、仕事自体の面白さや刺激、顧客からの感謝、休暇といった報酬の総量を増やすロジックが必要としている。
私自身は、それよりも根本的に雇用社会の限界が到来していると感じているのだが。

1.2 リーダの考え方
 リーダには、周囲の人材のモチベーションを大きく殺いでしまうモチベーションキラーと周囲の人材のモチベーションを生み出すモチベーションジェネレータの2種類があるとしている。
モチベーションキラーは一見有能に見える人材で、短期的には業績を上げる可能性が高い。その代わり、組織・人材のモチベーションは確実に疲弊する。大企業の上司に多いタイプと思う。
モチベーションジェネレータには4レベルあって、レベル1は「聞く力」であり、レベル2は「触発力」、レベル3は「創造的破壊力」、レベル4は「人物力」としている。
 
2.挑戦機会提供企業
2.1 挑戦機会とは?
挑戦機会を作り出すとは、一つには組織を良質の問題で満たすことであり、
「問題の無い組織は無い。あるのは良い問題と悪い問題だけだ。」としている。
悪い問題はやる気を失わせ、良い問題はやる気に火を付ける。
その意味では、良い問題に置き換えることが経営者の課題と思う。

2.2 意気に通じるミッション
ミッションはついおざなりなものになりがちだが、ここにミッションのテスト方法が一つ
載っている。このテスト方法だけでも、本代の価値があるのでは?
否定テストというチェック方法だが、ミッションに”NOT”をつけて成立するか
を確認するものだ。それで成立しないようなものはあたりさわりがないことを
言っているだけでミッションの価値がないというものだ。
一見すると暴言のように聞こえるが、サラリーマン時代にミッション作りとその評価の双方に関与してきた
私にはその意味がよくわかる。至言だと思う。

(3/5に続く)…予定